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2010年03月27日(土)01:06  「非実在青少年」についての見解



「非実在青少年」についての見解


 まず、前提として、「非実在青少年」、架空の創作物の規制についてのみ述べます。
実写の児童ポルノの場合は被害者がいるので、これは被害者の観点から規制されるべきであるので別の要件です。

以下は、「架空の創作物」についての見解となります。

 青少年健全育成を目的とした場合、「表現の自由」に関わる問題というよりも、「知る自由」に関わる問題であると考える。
・「表現の自由」とは、自由に物を書く権利であって、これは他者の人権に対する重大な侵害(プライバシーの侵害など)でない限り、絶対的に保証されなければならない権利である。
・「知る自由」とは、それら表現された物を、受け手である大人または青少年が、国家等に規制されることなく、情報を知る為の権利である。
 今囘問題となっているのは、青少年健全育成という観点であって、青少年が性情報を「知る自由」を年齢に応じていかに制限していくか・開放していくか、という問題である。
 つまり、青少年の「知る自由」に関する問題であって、表現者の「表現の自由を規制する」、という事とは完全に別の問題である。

 大人向けであって大人が消費者である場合は、いわゆる18禁の悪質な性的暴力的表現であっても、規制は受けてはならない。倫理規定や風紀を規定することは、思想・内心の自由に関わる問題であり、倫理による規制は認められない。どんな悪質な表現であっても、大人の場合は表現する自由が保障されなければならないし、また、大人であればそれを知る自由を規制されてはならない。法律面からだけでなく、文化面からも同様である。わいせつ性と芸術性は切り離すことができない。これはミロのヴィーナスやマネの「オランピア」、ルノワール、クリムト、など見ても明らかである。社会規範による抑圧からの人間性の開放、というのが芸術のテーマとなりうるからである。ここに線引きを行うのは完全に不可能であり、かつ、作品というのは時代を経てから再発見される場合も多い。現在無価値だと思われても、その判断は常に正確でない。時代が検証を行う余地、つまり作品を消滅させるのではなく、検証できるように残すことが最重要である。ゆえに架空の創作物に関わる単純所持禁止というのは完全にナンセンスであり、絶対に認められてはならない。これを認めることは文化的敗北である。


 現在の状況に照らして考えてみると、

 18禁(成年マーク付き)のものは一切規制されてはならない。架空であるので被害者がおらず、守るべき法益が存在しない。表現者の「表現の自由」、大人の受け手の「知る自由」、両面からの侵害となる。どんな悪質な情報であっても、それが大人の間で情報交換が行われる場合、規制の根拠がない。 主観的な倫理や風紀に基づく規制は思想・内心の自由の侵害であるのでそもそも認められない。

 いわゆる一般漫画誌、全年齢対象とした媒体の場合、18歳未満の青少年の「知る自由」を年齢に応じてどのように制限していくか、という問題となる。ゆえに表現規制はまったく無関係かつ無根拠。以下ジャンルごとに見ていく。

 まず少年漫画誌について。少年誌における性情報の現状は、かなり厳しく、セックスシーンが多々出てくるなどということは現状皆無である。
少年誌は小学校高学年からを対象としているため、パンチラ程度の性情報であれば許容される。むしろ、年齢に応じた性情報の取得を考えた場合、ソフトな性表現は積極的に取得したほうがよい。現状の少年誌では、年齢に応じた性情報の取得は困難と言える。ゆえに規制に当てはまらない。
 次にヤング誌について。ヤング誌はかつてはいわゆるエロ漫画と呼ばれる作品群が掲載されていたが、成年マーク普及後、ゾーニングが一気になされた。この結果、ヤング誌からセックスシーンを描写したエロ漫画が消え、成年マーク付きエロ漫画へと移動した。その結果、ソフトエロと呼ばれる、パンチラや胸の露出、局部などを隠したセミヌードのみが残り、局部やセックスシーンのみを延々と描写するようないわゆるエロ漫画は、現在のヤング誌には存在しない。これはゾーニングとして十分機能したといえる。また、ヤング誌が高校生以上を対象としており、年齢に応じた性情報取得という観点からは、性情報として不十分。本来は、適切なセックスの情報を入手できるようにするべきであった。槍玉に上げられやすいヤング誌というのは、基本的にソフトエロと呼ばれるものである。対象を中学生以上と考えても適切な性情報である。と同時に、これを小学生が買うことがあるのだろうか。一冊340円〜1000円近くするものを、小学生が消費しているなどというのは、お小遣いのあげすぎではないか。これは完全に家庭の問題である。ヤング誌を小学生が見ていたら親が適切に処理する、それだけの事である。中学生以降は、むしろ積極的に性情報を取得しないと危険だろう。誰しもが経験のあることだと考える。現在のヤング誌はそのような性情報を補完できるほどに性情報に緩くなく、性情報取得は困難なのが現状といえる。
 少女漫画誌について。少女誌の過激さが目立つようになったが、女性の場合は性情報の早期の取得が必要である、と社会的にも考えられている為。小学校低学年では早すぎるが、小学校高学年以上の場合は学校教育などでも性情報の取得が行われており、これにあわせて、少女誌も適切な性情報の取得の場とすべきだろう。こういった少女誌の場合は、性的搾取から自己を守る、という観点からも、現実の状況を架空の創作物から取得することはたいへん意味のある有益な行為である。
 ゲームついて。一般のゲームには性情報がほとんど無く、性情報を扱っているのはアダルトゲームという分類となる。アダルトゲームは18禁であるので、青少年健全育成と無関係。どんな悪質なものでも表現の自由・知る自由の両面から規制されてはならない。売り場をゾーニングして対応する問題である。
 アニメについて。現状、エロアニメという媒体がほとんど無い以上、語る余地があまりない。エロアニメは18禁であり、年齢認証などを経て購入しなければならないので青少年健全育成とは無関係。ゾーニングが完全になされている例といえる。深夜アニメについても同様で、深夜枠というゾーニングにおいては、アニメの自主規制は想像以上に厳しく、ソフトエロ的なものもそうそう見られない。せいぜいパンチラやセミヌードが一話につき数回ある程度である。これは中学生以上を対象とすると考えると、適切な性情報と言える。また、深夜はそもそも小学生が起きていない。小学生が深夜にTVアニメを見る、そんな状況を作ること自体が稀である。小学生が深夜にTVを見るような事態は家庭で考えるべき問題。
 最後に同人誌について。18禁同人誌には18禁マークをつけることを運営から指導されており、100%対面販売で18歳未満には売らないよう指導がなされている。イベントに来て取得する意思を持つものだけが購入するので、18禁本は大人から大人への情報交換であり規制は認められない。青少年健全育成とは無関係。問題があるとすれば、18禁のものを18歳未満に売ったケースだが、そもそも同人イベントに小学生が単独で来るはずもなく、買えるはずも売るはずもない。購買が行われるとしたら中高生以上である。年齢が幼くみえたら年齢確認を行う、これだけで対応可能である。そもそも個別に対応していく問題なのである。より適切なイベント運営となっていくよう、今後も努力していくことが重要だろう。


 現状の性情報のゾーニングは適切であり、むしろ少年誌・ヤング誌においては自主規制が過度であると言える。こういった性表現の際に誤った性情報、例えばセックスをすると健康になる、などがあれば、逐次指摘していくことは必要だろう。むしろ、こういった指摘を行わずに、責任放棄するかのように不健全図書指定を行い、国家が事実上の表現規制をする、というのは論外であり、思考停止と言える。このような思考停止はファシズムを招く、という批判もあってしかるべきだろう。
 今囘は不健全図書指定に関わる件であり、取得する意思のあるものだけに関わる問題であるので、「表現規制」自体がナンセンスであるが、公共空間における表現の場合、街中や電車の中など、この場合は社会的節度は求められる。公然わいせつに関わる問題であるし、性情報を知りたくない人の「知らない・見ない自由」を侵害する為である。よって公共空間における問題はまた別個の問題となる。

 結論として、「非実在青少年」に関わる改正は不要であり、同時に不健全図書指定の概念も成人向けに適用すべきではない。この問題は、青少年が「知る自由」をいかに適切に管理・年齢に応じて開放していくか、という問題である。ゆえに、表現規制となるとまったく相容れない。
 本来であれば、不健全図書指定自体も廃止し、出版社・行政・第3者による議論の場を設けるべきである。そしてそういった場を一般公開し、ネットのストリーミングなどで中継し、視聴者も加わってオープンに議論して精査されていくことが、本来の意味での社会の健全性につながる。
 現在密室で行われている不健全図書指定制度を廃止し、上記のような政策を行政は率先して推進して頂きたい。

 青少年の「知る自由」に関わる問題を「表現規制」とすり替えるような、今囘の改正案は看過できない。廃案とするのが適切な判断である。

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